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ユーミン史上最大規模のツアー [音楽]

松任谷由実 50th Anniversary コンサートツアー「The Journey」.jpg
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WOWOW
松任谷由実
50th Anniversary コンサートツアー
「The Journey」


名曲が散りばめられた空前絶後のスペクタクルショー

松任谷由実デビュー50周年を記念した全国アリーナツアーの中から、横浜アリーナ公演の模様をWOWOWで独占放送・配信する。

今回のツアーのテーマは“海”。これまで数多くの海にまつわる楽曲を作ってきたユーミンが、センターに設置された巨大な海賊船に乗り、ある新米船乗りの日記を元に、ユーミンの歌と一緒に旅に出る。

出航してから50年。常にトップランナーであり続けてきた松任谷由実の最新の姿、スペクタクルなコンサートの模様をご堪能いただきたい。

昨年の神戸ワールド記念ホール(←Click!)を想い出しながら観たいと思います。


【ライブレポート】
キャリア史上最大規模となった松任谷由実のデビュー50周年記念コンサートツアーは、名曲の数々が散りばめられた空前絶後のスペクタクルショー。長い“旅”の途上で、彼女が紡いだものとは--。

1972年のレコードデビューから半世紀以上もの長きにわたり、日本の音楽シーンの最先端を走り最高峰に君臨してきたユーミン。彼女のデビュー50周年記念コンサートツアーが、2023年5月から12月にかけて行われた。彼女にとっても特別な思い入れのある「横浜」では、2会場計6公演がブッキングされた。2023年11月23日、本ツアーでは同地での最終日となる横浜アリーナ公演が行われた。
 
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コンサートツアーのテーマは、彼女がこれまで多くの作品で描いてきた“海”。アリーナ中央にそびえ立つ巨大な海賊船は、ステージセットと呼ぶには異次元のスケール。さまざまなインスピレーションを喚起させるオブジェが、開演前から期待を大きく膨らませた。

定刻が過ぎると場内が暗転、荘厳な調べが空気を引き締める。戦闘機のエンジン音が聞こえる中、海賊船に火が焚かれる。船長をイメージしたデニムジャケットの衣装で登場した彼女は、船尾マストに設置されたゴンドラで見張り台へ上がる。360度見渡し歌われたのは、アルバム『REINCARNATION』に“RIB II世号に捧ぐ”とクレジットされた「心のまま」。“Hurry Up!”と旅へ誘(いざな)う。

続く「WANDERERS」では照明が赤く染まり、乗組員に扮したアクターたちが海賊船に駆け足で乗り込むと、ロープを使った華麗な動きを魅せる。彼女は船首側見張り台へと縦横無尽に動く。そして、レーザービームが印象的な「リフレインが叫んでる」を歌い終えると、センターで目を閉じポーズを決める。冒頭から全開だ。
 
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コンサートの展開に合わせて高度かつ緻密に設計された演出で、ステージは曲ごとに様変わりし、巨大セットが様々な世界観を提示していく。中盤では、デッキ中心の円形ステージがせり上がる演出も。風に揺れるカーテンが薄い紗幕に映し出される中、ドレッシーなワンピースに着替えたユーミンの姿が浮かび上がる。横になって囁くように「TYPHOON」を歌う。その姿は神々しいまでに美しい。「青いエアメイル」「紅雀」そして「あの日にかえりたい」と、歴史に刻まれた名曲たちが紐解かれていく。
 
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長年彼女の音楽を聴き続けていた者ならば感涙必至なのが、アルバム『悲しいほどお天気』のラストに収められた「さまよいの果て波は寄せる」だ。一つひとつのフレーズとメロディが調和し、聴き手の人生に同期していく。切なさが優しさとなって心に染み入るような、温かな余韻が残った。

コンサート中盤で披露された「Delphine」もとても印象的だった。彼女は目を瞑りながら空高く手を伸ばし、何かを呼び込むように祈りを捧げる。すると、会場の上空にドルフィンが出現し、ゆっくりと回遊していく。二組のアクターが繰り広げるロープアクトもどこか神秘的だ。シャングリラシリーズを彷彿とさせる演出に感嘆の声が漏れた。

続く「LOVE WARS」では巨大かつ勇壮なドラゴンが登場し、天へと舞い上がる。未来のパイレーツをイメージしたシルバーの衣装をまとった彼女は、煙炎を噴射する“昇龍”の頭上に乗り力強い歌声を響かせる。様々な色を織りなす照明と観客一人ひとりに配られたフリフラがシンクロし、会場全体が灯火に包まれた。
 
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ステージ本編も終盤を迎え、「真夏の夜の夢」のイントロが流れると、スタジアムライブのような熱狂の渦が巻き起こる。ミュージシャンのソロプレイとアクターのアクロバティックなソロパフォーマンスを間奏に織り交ぜ、彼女の音楽の奥の深さを垣間見せる。あらゆる音楽のエッセンスを兼ね備えたユーミンの“ポップミュージック”が、極上の演出と融合し昇華されていく。まさにライブエンタテイメントの最高峰と呼ぶにふさわしい饗宴だった。
 
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本編最後に「航海日誌」を歌い終えると、彼女は震える声で万感を言葉に託した。「けれど、私は人の知性を信じたい。未来がより良い世界であるために。今日は最後までありがとうございました」鳴り止まない拍手と歓声からは彼女への共感と敬意が伝わって来て、それがまた素敵だった。

アンコールで再登場したユーミンは、髪をポニーテールで結びベルボトムのデニム姿でオーディエンスに向き合う。「次の航海でまたお会いしましょう」そう言って披露されたのは、「守ってあげたい」「やさしさに包まれたなら」そして「春よ、来い」。“代表曲”とも言える慈愛に満ちたシングル3曲を続けて歌い上げると、彼女は感極まった表情でステージを降りていった。「次の約束」があることが、とてもうれしかった。
 
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寄せては返す波のように、繰り返される歓びと哀しみ。それでも、未来を信じて帆(歩)を進めて行こう。世界が不穏な空気に包まれ、明日さえ不確実に思えてしまう時代だからこそ、かけがえのない穏やかな日常を守りたい。コンサートを通じて届けられたのは、彼女のそんな想いだったのかもしれない。

WOWOWでは、この夜を含めて横浜アリーナで開催された全4公演を、計140台ものカメラで収録。松任谷由実が全身全霊を捧げた“The Journey”を克明(刻銘)に記録した映像に注目だ。


【セットリスト】
 1. 心のまま
 2. WANDERERS
 3. リフレインが叫んでる
 4. ただわけもなく
 5. 満月のフォーチュン
 6. TYPHOON
 7. 青いエアメイル
 8. 紅雀
 9. あの日にかえりたい
10. さまよいの果て波は寄せる
11. セイレーン
12. BluePlanet
13. Delphine
14. LOVEWARS
15. NowIsOn
16. 星空の誘惑
17. 埠頭を渡る風
18. 真夏の夜の夢
19. 航海日誌
20. 守ってあげたい
21. やさしさに包まれたなら
22. 春よ、来い
23. 瞳を閉じて

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