物言えば唇寒し…

物言えば唇寒し秋の風 ものいえばくちびるさむしあきのかぜ 物言えば唇寒し秋の風とは、人の悪口を言えば、なんとなく後味の悪い思いをするというたとえ。 また、余計なことを言えば災いを招くというたとえ。 恥ずかしながらこの歳まで、（話すために）口を開けば、入ってくる風の冷たさに晩秋を感じる──という意味だとばかり思ってました。 松尾芭蕉の「座右の銘」だったんですね…。

【物言えば唇寒し秋の風の解説】

注釈

人の欠点を批判したり自分の長所を自慢したりした後は、必ず言わなきゃよかったという思いにとらわれるものである。また、そうしたことによって余計な災難を自ら招くこともある。 口を開くと秋の冷たい風が唇に触れて、寒々とした気分になることから。 松尾芭蕉の「座右の銘」にある句で、この句の前には「人の短をいふ事なかれ己が長をとく事なかれ」とある。 略して「物言えば唇寒し」とも。

出典

『芭蕉庵小文庫』

類義

蛙は口から呑まれる／雉も鳴かずば撃たれまい／口は禍の門／口は災いの元／舌は禍の根／病は口より入り禍は口より出ず／禍は口から

対義

思うこと言わねば腹ふくる／物言わねば腹ふくる

英語

Your lips hang in your light.（君の唇は君の明かりの中に突き出ている） ※ 余計なことを言うと、利益が減るという忠告の意が込められている。

例文

「喧嘩して、相手の欠点ばかりを列挙して攻撃したが、自分までもが惨めな気持ちになった。物言えば唇寒し秋の風というように、あの時は言ってすっきりするどころか、嫌な気持ちだけが残ったよ」

～ 出典：故事ことわざ辞典 ～